【ロンドン=中島裕介、ブリュッセル=森本学】英議会下院は29日、欧州連合(EU)離脱案のうち離脱条件を定めた「離脱協定案」だけを切り離して採決し、反対多数で否決した。この結果、英政府は4月12日までに今後の方針をEUに示すことを課されるが、打開策がなければ同日に「合意なき離脱」が決まる恐れもある。EU加盟国からは「合意なき離脱のリスクが高まった」との声が相次いでいる。
投票には下院議員の定数650人のうち、伝統的に登院しないシン・フェイン党の7人や議長団を除いた議員が参加。賛成286票、反対344票で否決された。
1月や3月12日の過去2回の採決よりも差は縮んだが、与党からなお44人の造反が出た。造反議員は減ったものの、離脱協定案に盛られたアイルランド国境問題の対応策への根強い不満が今回も可決を妨げた。
「4月12日に合意なき離脱となるシナリオの可能性が高そうだ」。EUの欧州委員会は29日、英議会の否決を受けて、混迷する英離脱の先行きを警戒する声明を出した。EUのトゥスク大統領は、急きょ4月10日に英離脱問題を協議する臨時EU首脳会議を開くことを表明した。
加盟国の間でも警戒感が広がっている。オーストリアのクルツ首相はツイッター上で、英国が今後2週間で打開案を示せなければ「ハードブレグジット」になるとけん制。ロイター通信によると、オランダのルッテ首相も「合意なき離脱のリスクはきわめて現実的だ」と記者団に強調した。マクロン仏大統領はEU側は合意なき離脱への備えをさらに加速させる必要があると呼び掛けた。
英議会はメイ首相の案に代わる選択肢を検討しているが、現段階では与野党含めた一本化は図れていない。4月12日までにEUに何も示せなければ、同日に経済界が警戒する「合意なき離脱」に陥ることになる。
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2019-03-29 20:10:00Z
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